言葉は要らない

 からから
 からころからころそのたびかすかするいっぱい広がっいる甘酸っぱいレモン
 からからからころからころ
諸星それなん
 買っばかり雑誌めくっいるときだっ問われるまま上げる向かい側明日予習いつのまにか頬杖ついこちらじっと眺めいるあたる傾げ
なにって
だからきみ食べいる
 あたるきょとんそのままっと出しだいぶ小さくなっアメ見せる
見りゃわかるだろふつーアメ
へえ
へえってな
 今度あたる頬杖つい見上げるその間アメ小さな立て左右転がっいるもうほとんど溶けしまっ小さな欠片ガリ噛んしまえあっさり砕け散る
どんなする
レモンアソートからいちごとかグレープとかある
ふうんそうだから違う
 中身のぞき込ん感心よう声音呟くその言い方ぴんとあたる半信半疑尋ね
まさか思う
 案の定あっけらかん表情言っ
そういう庶民お菓子ぼく食べことない
冗談だろ
ぼくそんなつまら冗談言う人間見える
うん見える
ばかてる
 ひく引きつら傍ら日本すっと取る切りかかられるあたるアメ入っ指さしにっこり笑っ
おまえ舐めみる
 鯉口切っ止まるちらりとカラフル向けからまた傍ら置いそっけなく言っ
ぼくそういう庶民食べ物合う思え
~、そりゃ残。こんなにおいしいの
 なんともいえないするむすっと尖らたる傍らあるカラフルじっと見つめまま言わないたる頬杖突いまま様子静か見守っかちかち時計だけ立ている
 動いだっ組んふんいつも自信たっぷり笑み口元浮かべ
確かぼく合う思えん事実しかし財閥跡取りたる個人好き嫌いなど置いおくべき市井文化研究することそれすなわち財閥未来支えるつながっ――
おまえ素直欲しいなぜいえん
 くどくど言い訳並べ立てる聞き流しながらあたるアメ突っ込む適当掴んそれピンク色イチゴ
ほれ出せ
 たる透明包装破きながら言う素直差し出しくる関心装っいる黒い隠しきれない好奇きらめい
 あたるアメ持っ指先手のひら載せる――仕草だが実際アメ落とすことなく何気ないさっと引き戻し自分放り込ん
 唖然その様子ただ眺めいるだけだっ差し出し空っぽまま空中静止いる
 固まっいる様子あたるたまら上げ笑い出すはっと返っこちら睨み付けながらガタっと立ちいまだ笑っいるたる胸ぐら掴む
諸星さまおちょくるいいかげん――
 最後まで言わせるつもりなかっぐっと引き寄せられところあたる後頭部回し自分引き寄せえっ間抜けこぼすあたるすばやく自身もの重ねる薄く開いままそこ甘い甘い押し込んいくかろ立てアメ口内移っ
 ゆっくり離しいく入る間近ある驚い相変わらず想定出来事すこぶる弱いある
 あたる軽くつついへら笑っ
おいしいだろ
 そこでようやく状況飲み込んらしいみるみる赤く染まっいくまで真っ赤ながら言わ口元片手覆っ俯い思っとおり反応あたる満足する
おれそれもらっいい
 たるのぞき込みながら微笑むそろそろ視線上げる少しだけ置いから小さく頷いそれ合図あたるかけもう重ね